GoogleによるYouTube買収(2)

すでに発表から1週間以上が経過し、日本のblogosphereでも語り尽くされた感がある。ただ実際のところ、その詳細が明らかにされていない以上、どうしても周辺をぐるぐると回遊しているような感覚がある。

もちろん本エントリとてそれは同じことなのだが、後発の優位性(というのは遅筆の言い訳に過ぎないが)を活かして、当事者から公開された情報をもとに、解読のための補助線を整理してみようと思う。

まずフレームワークとして、以下を大見出しに設定する。

全部書ききろうと思ったら思いの外長文になってしまいそうだったので、以下個別のエントリとする。

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GoogleによるYouTube買収(1)

少し時間があったので、GoogleによるYouTube買収のプレスリリースを訳してみた。

概ね日本でも報道されている通りの内容ではあるが、こういう大きなトピックでは、当事者から発表される一次情報に結構ヒントが隠れていることがしばしばある。実際、読んでみると今回もいくつかのことが見えてきた(これは別のエントリで整理する)。

あとこちらでは投資家向けのインタビューの様子を聞くことができる。さすがに英語のテープ起こしをしている時間はないが、いずれ余裕のある時に要約でもお伝えしよう。

簡単な英語なのでそう大きな間違いはないと思うが、なにぶん休憩中に手を動かした程度のラフな翻訳でもあり、「ここは違うのでは?」というご指摘は大歓迎である。おそらく感覚レベルの機微も重要な要素になってくると思われるので。


Google To Acquire YouTube for $1.65 Billion in Stock

GoogleYouTubeを16.5億ドルの株式交換で買収へ
−両者の合体が新しいサービスをユーザとコンテンツホルダーに提供−

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NGNの技術的特徴の整理

前回のエントリからまたしても時間が経ってしまった。

ところが、少し考えていたところを書きながら整理しようと、うっかりブラウザ上で書いていたら、データを消失してしまった。いわゆる「ブラウザのバックボタンの悲劇」である。

とはいえ、これでよかったのかもしれない、と今は思っている。やはりあまりに公開情報が不足していて、概要的なことを想像で補うしかなかったからだ。そこで新しいエントリでは、NGNに関する情報を得るためのポインタの紹介とその考察で構成し、引き続き状況をフォローしたい。

【追記】
書いていたらいろいろ抜けを発見したので、追記しました。

 10/12 11:30 課題を追記
 10/13 11:10 他ネットワークとの接続を追記

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インターネット精神の継承

テクノロジー : 日経電子版

電話、テレビから医療、教育まで様々なサービスを安心・安全に提供するIP(インターネット・プロトコル)網を目指す次世代ネットワーク(NGN)に通信各社はしのぎを削っているが、顧客の囲い込みやインターネットの自由が失われるのではとの課題も指摘され始めた。慶大環境情報学部教授の村井純氏は「インターネットは(NGNに比べ)『ぼろい』。しかし、誰もが参加できる創造的社会の基盤としてのインターネットは維持すべき」と問題提起。キャリアや行政、ユーザーなど様々な立場から発言が相次いだ。

この次のエントリで、NGNに関する技術的な整理をできればと思っている。その前口上として、ひとまず私自身のスタンスを明らかにしておきたい。

この会議自体には参加していないので、必ずしも感覚が一致しているかは定かでないが、私は村井先生の主張に概ね賛成である。その上で、NGNに反対するものではないが、一方で「インターネットの精神」をどう継承するのか、インターネットをどう継続させていくか、が問われているのだと思う。

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mixiはいつまでβ版なのか

先日友人と「mixiはいつまでβ版なのか」という話をしていた。

一版にβ版という用語は、パッケージソフトの開発で用いられることが多い。すなわち、パッケージとして完成させる前の最終テストとしてエンドユーザに試用してもらう、というものだ。だからその試用が終わり、製品がパッケージ化されれば、β版ではなくなる。

しかしmixiはすでに日本最大のSNSであり、機能も日々多様化している。単純に考えれば、すでにβ版という段階ではない。では彼らはなぜβ版と自称し続けているのか。そう考えてみると、案外webサービス技術やいわゆるCGMの概念を用いたサービスの根幹にかかわる問題なのかもしれない、とふと思った。

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AppleとGoogleのミッシングピース

Apple、Schmitd役員就任でGoogle に急接近 | TechCrunch Japan

Appleはついさきほど(米国時間8/29)GoogleのCEO Eric Schmidtを役員に迎えたことを発表した。魅力あるコラボレーションへの第一歩。オンラインサービスのGoogleMicrosoft、メディア(コンピュータ業界は言うに及ばず)ではAppleMicrosoftのバトルが過熱する中、これは大きな動きだ。SchmidtはAppleの8人目の役員となった。

アップル、グーグルCEOのシュミット氏を取締役に選出 - CNET Japan

Apple最高経営責任者(CEO)Steve Jobs氏は声明で次のように述べている。「改めて言うまでもなく、EricはGoogleのCEOとしてすばらしい仕事をしている。Appleでも取締役として貢献してくれるものと期待している。Appleと同様、Googleイノベーションに重点を置く企業だ。Ericの深い洞察力や経験は今後のAppleの舵取りをしていくうえで、大いに役立つだろう」

気づかれた方もおられるだろうが、私はこの提携(やや勇み足かもしれないが、こう言ってしまってもいいだろう)の狙いが、映像配信サービスの拡充・補完にあると考えている。この動きは、両者のミッシングピースを埋める、それなりに大きな業務提携になる可能性を秘めている。

そして仮に提携が成立した場合、そのサービスの対立候補として両者は、Microsoftだけではなく、むしろYouTubeを意識しているのではないか、とも考えている。そこで、AppleGoogleがこの分野で提携したら、という仮定で、少し状況整理をしてみようと思う。

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mixiが超えるべき壁

「mixiの画像ファイルは1日に23Gバイトずつ増える」---バタラ・ケスマCTO | 日経 xTECH(クロステック)

日本最大のソーシャル・ネットワーキング・サービスSNS)「mixi」を運営するミクシィのバタラ・ケスマCTO(最高技術責任者)は8月23日,都内で講演し,mixi内の画像ファイルは合計で9Tバイトを超えていると説明した。さらに「1日に23Gバイトくらい増えている」(バタラCTO)という。


バタラCTOによるとmixi内の画像ファイルは2種類に分かれる。つまり,(1)プロフィールの写真やコミュニティのロゴのように頻繁にアクセスされる画像と,(2)日記やアルバムの写真のようにアクセス頻度の少ないものだ。(1)はファイル数が少なく,サイズも合計で数百Gバイトしかないのに対し,(2)はファイル数が多く,合計で数Tバイトに及ぶという特徴がある。

今年の春先、mixiの笠原氏にインタビューする機会があった。今はまだリンク先はエラーメッセージしかないが、来月になればこのあたりに原稿が掲載されるのではないかと思う。

上記の記事を読んで、同氏が「すでに静止画についてはflickrあたりよりも多くのデータを有していると思う」とコメントされた記憶が甦った。そしてそれと同時に、株式公開を控えたmixiが今後進もうとしている道について、いくつかのことが思い浮んできた。

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