セカンドライフ

CNETで新しい企画が立ち上がった。私もお誘いいただいたので下記の通り参加してみたが、いろいろなコメントがコンパクトに読めて、当初考えていたより悪くないかんじ。

日本語版登場でどうなるSecond Life? - CNET Japan

なんとなくの印象ですが、「セカンド」というほど自分の分身になりきってないし、「ライフ」というほど現実世界の複雑さ(やおもしろさ)が投影されてもいない、という気がしています。すなわち、プロダクトがコンセプトに追いついていない状態、のような。

で、そのギャップを補って余りある魅力(たとえばデザインや希少性)でもあればまだしも、それを埋めるコスト(時間や費用)をユーザが負担するというのは、なかなか受け入れにくいものです。おそらく今後も私はやらないだろうでしょう。

セカンドライフについて、上記ではコンセプトについてあれこれ書いたが、ひとまず現状は「安めのノートPCでまともに使えるようになってから出直しておいで」というところに尽きると思う。使いたい/使いたくないという以前に、メジャーなプラットフォームでまともに動かないのでは、云々する以前の段階だろう。

ただ、セカンドライフ周辺を眺めていたら、あることに気がついた。Webブラウザ(とGoogleヘゲモニー)から逃れたがっている人たちの存在だ。

Webブラウザはソフトウェア表現上の制約である。もちろんこれは必ずしも悪いことではない。その制約があるからこそ、開発参入の敷居が下がり、コストも低下した。またその制約をユーザが受け入れることで、Webブラウザは急速に汎用インターフェースとしての地位を築いた。気がつけばメールですらWebブラウザ経由である。

ただ一方で、できないこと・しにくいことを感じている人も少なくない。実際、Webブラウザの汎用化の恩恵を強烈に受けているであろうGoogleでさえ、Google Earthには専用アプリケーションを用意している。さすがにWebブラウザの能力を超えているのだ。またネットゲームも同様だろう。

セカンドライフは、技術的にはWebブラウザに依存せず、またビジネス的にもGoogleに依存しない、比較的汎用性の高いプラットフォームである。そしてセカンドライフの世界自体は、報道されているよりもまだまだ小さく(実ユーザはせいぜい10万人のオーダーだろう)、それゆえに制御しやすい。参入者(特に企業)は、こうしたあたりに魅力を感じているのではないか。

ただ、だとしても、その見通しはいささか甘すぎると思う。WebブラウザにしてもGoogleにしても、一朝一夕でその地位を築いたわけではない。そしてサプライサイドの思惑にかかわらず、ユーザの圧倒的な支持を得ている。ましてセカンドライフの完成度は、上記のコメントの通り、まだまだである。

現実的に考えて、セカンドライフが何らかのポジションを取っていく可能性は、極めて低いと言わざるを得ない。少なくとも私はリンデン・ラボに投資する気持ちにはまったくならない。ゆえに、セカンドライフがどうこうではなく、これが何の呼び水になるのかを見極めることが、技術・ビジネストレンドを考える上では重要となるだろう。