IPv6はインターネットだけのものか?(1)

先月号まで、IPv6にまつわる様々な疑問に対して、Q&A形式で説明してきた。それを踏まえ、今月からは、IPv6をより柔軟な視点から捉えていただけるよう、従来「常識」とされてきた考え方を時には覆すような、「新しい視点」をご紹介していきたい。

IPv6はインターネットだけのものか?」と問われた時、これまで本連載をお読みいただいた読者の皆さんはどう思われるだろうか。確かにIPv6は次世代インターネットのために開発され、磨かれてきた技術である。だからインターネットの基盤技術ということに間違いはない。

しかし実は、IPv4IPv6のいずれにしても、インターネット以外の様々なサービスで利用されはじめている。たとえば現在IP電話が普及しつつあるが、このサービスは通信技術にIP技術を使っているものの、必ずしも音声データがインターネット上を流通しているわけではない。

こうしたIP技術の使われ方は、当然IPv6の世界にも及んでおり、「インターネットではないけれどIPv6を利用したサービス」が出現しはじめている。またそうした中には、すでに最終利用者向けのサービスも含まれている。そこで次回は、それらの最新動向についてご紹介する。
(情報通信ジャーナル2005年10月号に掲載)


ここ数年、インターネットの新しい基盤技術であるIPv6の普及促進に関する仕事を手がけている。恥ずかしいのでリンクはしないが、googleで私の名前を漢字でフルネームで検索した時、一番最初に出てくるページも、その仕事に関わるものだ。

その仕事の一環で、情報通信ジャーナルという雑誌に毎月小さなコラムを書いている。この雑誌自体、総務省の情報通信政策を追いかけているというマニアックな雑誌なのだが、「その筋」では結構読まれているようだ。当然だが、いい加減なことは書けない。

IPv6の動向については追々触れていこうと思うが、それなりにおもしろい状況になってきているのは確かだ。ネットの中でも下位層にあまり興味のない方は「まだやってるの?」と訝しがるかもしれないが、たとえばgoogleIPv6アドレスブロックを大規模に取得した、という話をしてみると「ほほう」と思うだろうか。

さておき、このコラムの転載許可を編集部からもらっているので、少しずつここにも転載していこうと思う。このコラムに限らず、細々とながらあちこちで執筆をする機会が増えているので、ここに既出原稿を公開することで、自分が書いたものの整理の場所としても位置づけたい。