ボーダフォンとソフトバンクの行方(3)

http://www.softbank.co.jp/news/release/2006/060317_0001.html

ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:孫 正義、以下、ソフトバンク)は、ボーダフォン・グループPLC (本社:英国ロンドン、代表:アルン・サリン、以下、ボーダフォンPLC)との間で本日、ボーダフォン株式会社(本社:東京都港区、代表:ウィリアム・ティー・モロー、以下、ボーダフォン)の買収について合意いたしましたのでお知らせします。

不眠不休であったろう関係者をまずは労いたい。これほど大きいディールに関わったことはもちろんないが、小規模でもこういう類の仕事は本当に心身ともに疲れるものだ。同時に、上記にも書かれているとおり、連結財務諸表への影響分析を進めなければならない。監査法人投資銀行のサポートも受けられるだろうけれど、IRが絡むだけにより慎重な作業が求められる。引き続きがんばっていただきたい。

さておき。記者会見と質疑応答の中で、このあたりから当面の展開が読み取れるのではないか、という注目すべきコメントがいくつかあった。R30さんが作成されたメモを元に、少し考えてみよう。

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それにしても心配

今回の一件に関し、マスコミ各社は当然トップニュースで取り上げているし、新聞社のwebサイトでもあれこれ記事が掲載されている。しかし、テレビや新聞を含め、どこも一様に「日本最大のディールであること」にばかり焦点があたっている。

確かにそれは報ずべき内容の一つだが、公になってから1週間程度の時間はあったのだから、もう少し検証・分析的な記事があってもいいと思う。通信業界のこみ入った話は難しいと避けられているのかもしれないが、それを咀嚼するのがマスコミの役割だろう。

それができないのは、単に記者の能力にかかる問題だけではなく、そういった「余裕をもってきちんと考える仕事」を許さない産業構造があるからではないか。すなわち、広告収入至上、売上至上、株式公開、記者クラブ制度、等が有機的に絡み合い、小さいスパンでは最適化できているけど、長期的には業界は自分で自分の首を絞めている、そんなふうにすら見える。

さらに言うと、今回も土曜の朝の時点では、報道発表と質疑応答(それほど意味深な質疑があったわけではなさそうだ)の要約を速報する、という程度しかできていないようだ。しかし、それならむしろR30さんのエントリを読んだ方がよほど充実している。速報機能ですらblogの方が迅速で内容が濃いとなると、マスコミ各社にとっては危機的な状況と言わざるを得ないのではないか。